『デンマーク「希望の絆」』発行1年企画
<デンマーク国旗のマスクケースへの想い>
東松島のデンマーク刺繍に魅せられて
書籍『デンマーク「希望の絆」』の取材のため、版元マイティブックの代表&編集担当でもある私が東松島市へ著者の野口武さんと訪れたのは、コロナ禍の混乱が少しだけ落ち着いた2020年9月でした。
その時、取材先のひとつだった芳賀さんのショールームで見たクロスステッチに、私は一発でノックアウト!東松島と言えば、ブルーインパルス、その機体が鮮やかなブルーのキャンパス地にクロスステッチで刺繍されたトートバッグを見つけて、「買いたいです!」と思わず言ってしまいました。
しかし、「わああ!ごめんなさい...、こちら予約商品なんです。一般販売はステッチガールズのサイトで行っていますから、それを見て下さいね」という芳賀さん。とても人気のある商品で、販売サイトで予約を募ってから生産されるとのことでした。東京に戻ってからしばらく、日課のようにサイトをチェックし、ついにブルーインパルスのトートバッグを手に入れたのでした!
その後もちょくちょくとサイトを覗いていたところ、ワンポイントでクロスステッチのブルーインパルスが刺繍されたマスクケースが新商品として登場していました。子どもに、ちょうどいいブルーのチェックの布柄です。
実は取材訪問時、芳賀さんとマスク生活について雑談をしている最中に、「子どもが外したマスクをそのままランドセルに結び付けていて不衛生。布製でカバンにフックできるクロスステッチのマスクケースがあればいいですね...」というような話しをした記憶がありました。「芳賀さん、もしかして、覚えていた?!」と再び感動しました。
そして今は、大人にもマスクの取り扱いマナーが問われるようになっています。食事や会議で着用したマスクを外す&再び口にするといった時のマスク保管にも気を使います。(本当は都度都度、新品に変えるほうがよいのでしょうが、一日に何枚もマスクを消費してしまう負担があります)
かばんはいつも持ち歩いているわけではないし、プラスチック製のマスクケースは、角が当たるためポケットの携帯が不便です。ポケットのハンカチに包んでも、ハンカチはハンカチとして使うので衛生面ではイマイチです。ということで、私は布製マスクケースを自作し使用していました。
運命は2度目の東松島訪問
書籍『デンマーク「希望の絆」』を2021年3月に発行した際に、東松島市の復興に貢献できる支援イベントや本書にご協力いただいた皆さんの講演会など、何か地元と結びつくことをやりたいと、日本デンマーク協会と話し合っていましたが、コロナ禍ではなかなか実現に至りませんでした。
何もできないまま、2021年が過ぎようとしていましたが、出版版元としてやはり発行年内に東松島を再訪し関係者や販売協力書店へお礼がしたいと願っていた私は、コロナ禍の様子を伺いながらも11月に再び東松島を訪問しました。(ここで東松島2泊3日の旅の報告を書くと、長くなるので省略します。ですが、本当に最高の旅、東松島はいいところでした。)この二度目の訪問に、もちろんデンマーククロスステッチの芳賀さんのお店にも向かいました。
東松島訪問前から私の頭の中は本書の発行を機に、デンマークのフレデリック皇太子が復旧と復興を強く願った場所、そして取材を通じて生まれたご縁が切れないための交流の仕組みのようなものをずっと考えていました。東松島の特産品を会員向けに販売するなどのアイデアが浮かび、日本デンマーク協会にも相談したのですが、デンマークとの関係でいうと大きな「?」です。二度目の訪問時には、東松島市役所から紹介いただいた物産館で商品視察などを行いましたが、特産品は食品が多く管理などの面で、出版社が扱うことは難しいと感じました。
そして、ご挨拶と予約商品の引き取りで向かった芳賀さんのお店で、私の頭にデンマークの旗がサーっとよぎったのです。そう、「デンマーク国旗刺繍のついたマスクケース」です。
東京に戻り、他にもいくつかあった東松島市支援について、日本デンマーク協会の事務局と相談しました。結果としてマスクケースは「出版社が発行1年企画として行うならいいのでは?日本デンマーク協会は会員の取り組みとして応援はするよ」という暖かい会長の言葉をいただきました。はい、正直に言います。これは支援でもありますが、本当は私が一番欲しいんです。
たくさんの小さな希望と、そして明日へ
そんな形で進んだプロジェクトですが、芳賀さんから届いたのはマスク生活のストレスを一発で吹き飛ばしてくれそうな、サンプル画像でした。
一つ一つの工程にストーリーを感じる手作り商品です。あまり一度に量産ができないので、1回の募集で50個、値段も手頃にご提供いただきました。この商品の売り上げは(カード手数料・配送料を除く)「東松島ステッチガールズ」へお届けします。
『デンマーク「希望の絆」』 の巻末に日本デンマーク協会の事務局のあとがきがあり、中の小見出しに「たくさんの小さな希望と、そして明日へ」という言葉があります。デンマークの支援の在り方だけではなく、人と人との助け合いの本質を感じる、この言葉が気に入り、本の宣伝ポスターに使わせていただきました。
今回のマスクケースも「ちいさな希望」ですが、これから先の東松島との絆をつなぐ「大きな希望」になればと思っています。
皆さま、どうか応援よろしくお願いいたします。
2022年2月
マイティブック まついきみこ